あらわれたのは8才の女の子
2019年、国際音楽コンクールの会場に、8才のかわいい少女がバイオリンを持って現れました。 審査員は世界最高レベルの3人の男性です。3人はそのあどけない日本の少女を見て、「ここは田舎のコンクール会場じゃないよ」 と 一瞬 思ったかもしれません。
ところがピアノ伴奏にあわせ最初の力強い音色が響いたとき、3人の顔色が一変しました、演奏曲は「ツィゴイネルワイゼン」、この曲はベテランバイオリニストでも敬遠するほどメチャ難しい曲だそうです、それを目の前の幼子が何一つ迷うことなく、堂々と演奏しているのです、少しのマチガイでもあれば審査員はすぐわかります、演奏は佳境に入り妙なるメロディが響き渡ります、審査員の後ろの女性がなぜか涙をぬぐいました、このあどけない少女の名前は吉村ひまりさん、さらに演奏はつづき、一人の審査員が妙なる演奏にほれこんでいる表情を見せました。
審査どころか演奏にほれこむ審査員
ひまりさんの指は激しく動き、表情は愁いをただよわせ、大人の演奏かとみまごうばかり。審査員の長のザハールブロンさんも、最後の激しい部分では完全にひまりさんの演奏に乗せられてリズムをとる始末。そして演奏が終了すると、なんときびしい審査員が審査どころかアンコール拍手をするという、およそ考えられない事態となりました。もちろん国際音楽コンクールは1位、審査の点数は3人の審査員とも12点満点で、「もっと点数をあげたい」とまで言われました。
妙なる演奏にほれこんでいる表情を見せた審査員は言いました「彼女の演奏を聴くとまるで別世界を旅しているかのようです、音楽が心の奥深くに入り込んでくるのを感じます、まるで神や天使が作り出したような演奏です、彼女の演奏を聴けたことに非常に感謝しています」
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